すずきあさよ
初出版でマスコミの取材を受けて感じた本当の願いのお話し
更新日:2022年7月15日
こんにちは、すずきあさよです。
6月23日木曜日に、初出版の件で北海道新聞みなみ風の記者さんと、函館新聞の記者さんが取材してくださいました。
初出版の本「乳がんは、わたしの宝物になった〜39歳で浸潤性小葉がん生き方を変えて再発せずに12年」は、函館の病院が舞台となっており、病院名、医師名ともに実名のストーリーで書いています。
取材は函館の実家で行われました。女性の記者さんからインタビューを受け、答えるなかで、思いがけず、新しい発見をしたので、ここでシェアしてみます。
記者さんから次の質問を受けました。
「出版にはさまざまなスタイルがあると思いますが、この方法を取られたのはなぜですか?」
(この方法とは、Amazon Kindle出版のことを指していると思います。)

最初に思い浮かんだ言葉がありました。
わたしは、かつて、「乳がん体験で本を出したい」と、ある出版社の編集者さんにお話ししたことがあったんです。
その時に、その出版社の編集者さんに言われました。
「現在、闘病記は有名人が書いても読まれない、売れないと言われる時代です。その昔、逸見政孝さんががんにかかられた頃には、がんのことは書けば売れるという時代があったのは確かですが、もう、がんはめずらしい病気ではありません。
闘病記なら、よほどの有名人か、とてもめずらしい病気でなければ難しい。いや、有名人でも、めずらしい病気でも難しいと言うのが現実です。だから、積極的に闘病記を出版したがる編集者はいないと思いますよ!」
「自費出版なら別ですが……」
きっぱりこう言われ、現実を思い知りました。
自費出版。わたしの友人がやはり、がん体験を書いて、紙の本で自費出版していますが、まず、何よりもかなりの費用がかかっていて、とってもじゃないけれどわたしには手が出ません。
あげくのはてに、結局、在庫をどっさり抱えることになってしまい、一部屋つぶれてしまっているという現実を聞いていました。
正直、うちには、そんな余裕はありません。それに、そういう無駄があまり好きではありません。
考え方は人ぞれぞれですが、わたしはそんなお金があるなら、社会貢献をしている団体に寄付したほうが、よほど価値があると思うタイプです。
だから、すっかり闘病記で出版しようなどと言う気持ちをなくしていました。
ところが、昨年末に、たまたまAmazon Kindle出版のことを聞く機会がやってきたのです。
個人的には紙の本が好み、電子書籍で本を読むことはほぼなかったため、電子書籍で出版したいなど、さらさら思い描いてもいませんでした。
けれど、Amazon Kindle出版のお話しを聞いて、その考えが変わってしまいました。在庫を抱える必要もないですし、最大0円でも出版できちゃうのです。
長年、握りしめていた電子書籍に対する思い込みから解放されると同時に、出版事情も時代の流れで、どんどん変化し、ハードルが下がっていることも学びました。
闘病記は売れない、読まれないと言うけれど……
たとえそうであっても、ネットに強いAmazon Kindle出版は、「浸潤性小葉がん 再発せず」などで検索すると、無名のわたしが書いた本でも、検索にあがってくるというメリットがあると知りました。
個人のホームページやブログで発信するより、Amazon Kindle出版で出した方が、はるかに効果的ことは言うまでもありません。
紙の本で出版したというステータスや権威が欲しいという人、また、食べていける作家になりたい人には物足りない話しだと思います。
けれど、わたしの場合は、自分の体験をもとに、本を書き、必要としている人の役に少しでも立つことができたら、他でもない、わたし自身の人生が豊かになるというライフワーク感覚でした。
なので、Amazon Kindle出版でチャレンジするのは良さそう!と思ったのです。
がん体験者のお話しを聞けば聞くほど、かかった人の背景、性格、がんのステージなどなど、担当医との関係によって、治療に対する考えも、選択も、本当にそれぞれだなあと思います。
だからこそ、一人一人が、ありのままに体験したこと、気づいたこと、学んだことを発信していく価値があるのではないでしょうか。
わたしは39歳で乳がんになった時、標準治療をしなくても、再発せずに自分らしく夢を叶えていきいきと生きている人の体験談を探し求めました。
しかし、その情報を当時、手に入れることはできませんでした。だから、この本は39歳のわたしが当時、読みたかったストーリーでもありました。
記者さんのインタビューにこう答えるうちに、自分でも思いがけない熱い思いが出てきてびっくりしました。
わたし、ありのままの素直な言葉で体験を書いていこうとする人が好きみたい。そして、心からのエールを送りたいみたいです。
人は命に関わるような大病を患うと、不思議とその体験を書いて残したいと思うようになると言います。
人生でかけがえのない体験をしているのだから、文才なくても、かっこ悪くっても、それがあなたに与えられた人生だから、ありのままに表現してみると、きっと価値が生まれるんじゃないかと思いました。
がんにかかってしまったことは残念ですが、その人にしか書けない体験で出版をする人が一人でも増えたら、必ず、誰かの心に届く希望の光となるような気がしたのです。